前田紀貞の建築家ブログ

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zoom RSS 接道していない敷地に建てた家(改装中)

<<   作成日時 : 2016/12/16 15:24   >>

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現在、昭和34年に建てられた趣きある古い木造住宅のリフォーム・リノベーション計画をしています。

http://bit.ly/2hADUox
写真:白石隆治(STUDIO DIO)

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クライアントは この建物を初めて見た時まず目に入った

60年の風雨と共に剥がれ落ちた外壁


このミノムシの様(さま)に一目惚れをし 古家の購入を決めました。




室内も今は無き日本家屋の妖艶な薄暗さで充満しています

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小さな庭も手付かずでなんとも素朴な “さび感 “ が香ります

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そんな魅力たっぷりの住宅、それが「ミノムシ」です。この愛称はクライアントが、剥がれ落ちた外壁のペンキの様を見て、そう名付けたことから来ています。

僕もこうした古き良き昭和のレトロ感満載の家には、
尋常でない懐かしみを感じます。
この雰囲気を壊さぬよう、手を入れていかねばなりません。

これから、こうした古家付き(解体前提)の比較的安価な不動産物件は
徐々に出てくるものと思います。

ただ、その多くの場合、古い建物は「解体前提」、新築建物を建てられる計画であることが殆どです。


でも今回、昭和34年からずっと立ち続けているこんな風情を目にすると、

こんな情緒溢れる家を壊さず
そのまま使える方法

しかも、そこにある「古さ故の不安」をできるだけ払拭するような方法を模索してゆくことは、

実に大事なことなのではないかと知るようになります。





現実問題、
この時代の建築となると、計画に際しての心配の種は尽きず、

「構造強度」「地盤対策」「雨漏り」 「当時の施工方法」  「材料の劣化」など

挙げだしたらキリがありません。

外壁には猫も入れるほどの大きな穴が空いており、
防水紙も断熱材も無い時代ですから雨は入り放題、
加えて土台や基礎が無い、
あるべき場所に柱が無い、
床はすべり台みたいな傾き状態、、、、、、、


そんななかでも最も厄介なのが、
[耐震の対策]でしょう。

当然ながらそこに過大なお金がかけられる訳ではなく、現実的に最小限の費用で、
という条件が付くことは言うまでもありません。




ところで、

「今の家」(在来工法)  「昔の家」(伝統工法) の構造は
根本的に違います。

前者(今の家)は、建築の各部材を互いに金物等でガッチリ固定して地震力に対して動かないように対抗する方法(耐震)、

これに対し、

後者(昔の家)は、接合金物なども無く「ガッチリ接合」ができなかった時代故に、逆にそれらがルーズに動いてしまうことで力を外へ逃がしてしまうことで解決する

そんな違いがあります。







つまり、
「今の家」「せんべい」(固いけれどある力以上では壊れる)

とすると、

「昔の家」「ゴム」(すぐに変形するが壊れにくい)みたいなもの

といえます。



地震に対しては、これらどちらがいいか、ということは一概には言えません。

ただし、

「せんべいの家」(剛構造)というのは、
そもそもは地震のない西洋の発想であり、
歴史的にも地震大国である我が国の殆どの寺院建築は、
「ゴムの家」(柔構造)として設計されてきました。


広く知られているように、日本の超高層ビルが大地震で倒れないのも、
それが伝統建築としての法隆寺五重塔、
つまり「ゴムの家」の理屈を参考に設計されているからです。




ただ一般的に「(ゴムの家である筈の)昔の家は地震に弱い!!」と思われている理由とは、
それら一般住宅は、寺院建築の様には力量ある大工の技術力で作られてこなかった為、
といえます。

ですからそれは、「柔構造」というより、ただの「動構造!!」に過ぎない場合が多いからかと言えてしまいます。
それは力を逃がすのではなく、「ただ動いてしまう」という程度のレベルです。








今回のプロジェクトでは、こうした「伝統工法」をベースにした柔構造ならぬ動構造に対して、
臨機応変それなりの対策をしてゆくのです。

が……、

こうした古い建物の耐震の改善策において、ひとつ気を付けなければならないことがあります。

それは、

「昔の家」(動構造)の構造体に、中途半端に「今の家」の「剛構造」をミックスしてしまってはいけない、
ということです。



本来「剛構造」「柔構造」どちらかであれば耐力的にはもっていたものも、
それらを互いに混在させてしまうことでより悪い方向へ行ってしまうことがあるのです。

ここがこの時代の建物の耐震補強の難しいところです。




もしどうしても混在させるのであれば、
相当慎重に力の流れを検証をしながらやる。



ただ雰囲気で、「今の建物の論理」をそのまま「昔の建物」に移植しても害が生じるだけです。








※前田紀貞アトリエ:http://maeda-atelier.com/

※flickr: https://www.flickr.com/photos/nmaedaatelier/albums/72157674009042873


※完成後のブログ
http://norisada.at.webry.info/201706/article_1.html

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